原稿も構成も決まっていない状態から4か月で公開。丸紅グループ海外投資会社の英語サイト制作
掲載内容が固まるのを待たず、初回ヒアリングの内容だけでTekono側がワイヤーを先につくりました。公開できる情報が限られ、確認者も複数いる案件で、初回ヒアリング時点で具体案を見ながら議論できる状態にしています。
ワイヤー初稿の提出
1営業日
初回ヒアリングから
1回あたりの社内確認期間
5日
着手前の想定は14日
公開までの期間
4か月
プロジェクト開始から
結論
原稿を待つのをやめ、こちらから具体案を出す進め方に変えました
掲載内容が決まってから制作を始めるのではなく、初回ヒアリングの内容だけでワイヤーを先につくり、それに対して確認いただく形に変えたことで、案件が止まりませんでした。
丸紅株式会社の海外子会社であるAGS MCUK Holdingsの英語サイトです。投資会社という性質上、公開できる情報が限られており、掲載内容も固まっていない状態からの相談でした。
通常であれば、掲載する原稿と構成が決まってから制作に入ります。ただ、この案件でその進め方を選ぶと、決めるべき項目が多すぎて着手できません。
そこで、初回ヒアリングで伺った内容だけでこちらがページ構成とワイヤーを作成し、10営業日後に提出しました。以降は「何を載せますか」ではなく「この案でよいですか」を確認する進行になり、1回あたりの社内確認は5日程度で回るようになりました。
相談前の状況
「何を載せるか」を決める会議が、着手前から止まっていました
英語サイトが必要なことは決まっていました。ただ、公開してよい情報の範囲が判断できず、掲載内容を決める段階から進まない状態でした。
海外の関係者に向けて、会社の役割と丸紅グループの一社としての信頼を伝えるサイトが必要でした。一方で、投資会社として公開できる情報には制限があります。
一般的なコーポレートサイトのように、事業内容や実績を並べて説明することができません。何を載せられて何を載せられないかの線引きから議論する必要がありました。
この段階では、確認すべき相手も、決める順番も定まっていませんでした。何もない状態で「何を載せますか」と聞かれても、答える側は判断材料を持っていません。
最も重要だった判断
原稿の完成を待つ進め方を、この案件では採用しませんでした
掲載内容が決まってから制作に入る一般的な進め方をやめ、こちらが先に仮説を形にして、それを見ながら判断してもらう順番に変更しました。
白紙の状態で質問すると、答える側は前提から考えることになります。判断材料がないため会議が長引き、結論が出ないまま次回に持ち越されます。
具体案があれば、議論は「この表現でよいか」「この項目は外すべきか」に変わります。判断の単位が小さくなり、その場で決められるようになります。
この進め方は、こちらが外した仮説を出すリスクを負います。ただ、外れた案でも「これは違う」という判断材料になるため、白紙よりは前に進みます。
一般的な制作の進め方
原稿が決まってから着手する
- クライアント側で掲載内容と原稿を確定させる
- 確定した内容をもとに構成をつくる
- デザイン・実装へ進む
- 原稿が決まらないと着手できない
- 決める材料がないまま会議が続く
この案件で採用した進め方
仮説を先に形にする
- 初回ヒアリングの内容だけで構成を組む
- 10営業日でワイヤー初稿を提出
- 具体案に対して確認・修正してもらう
- 判断の単位が小さくなり、その場で決まる
- 外れた案も判断材料として機能する
施策1|ワイヤー先行
初回ヒアリングから10営業日で、確認できる形にしました
打ち合わせで伺った内容を整理し、ページ構成とワイヤーまでを10営業日でつくりました。その後の議論はすべてこの初稿を起点にしています。
電話と打ち合わせで伺ったのは、会社の役割、投資している領域、海外の関係者が知りたいであろう情報の3点です。この時点では原稿はありません。
伺った内容から、こちらで見出しと本文の要旨まで入れたワイヤーをつくりました。文章の完成度より、どの順番で何を伝えるかを判断できることを優先しています。
1営業日目
初回ヒアリングと構成とワイヤー提出
会社の役割、投資領域、想定する閲覧者を確認。公開してよい情報の範囲についても、この場で分かる範囲を整理しました。事前に用意したワイヤーと、確認していただきたい項目の一覧を合わせて提出。ここから議論が具体案ベースに変わりました。
2~3営業日目
構成とワイヤーの修正
打ち合わせのフィードバックを踏まえて修正案の作成
4営業日目
構成とワイヤーの修正案提出
打ち合わせ前に修正案の送付
5営業日目
構成とワイヤーFIX
打ち合わせにて構成とワイヤーFIX
施策2|英文の整理
会社の役割・投資領域・グループとの関係を、混ぜずに書き分けました
英語では、この3つを1つの説明にまとめると「どこまでがこの会社の事業なのか」が読み取れなくなります。項目を分けて記述しました。
日本語であれば文脈で補える部分も、英語では主語と範囲を明示しないと誤解が生まれます。特にグループ会社の場合、親会社の実績と自社の役割が混同されやすくなります。
そこで、この会社が担っている役割、投資している領域、丸紅グループの中での位置づけを、それぞれ独立した記述に分けました。誰が読んでも同じ意味に取れる状態を優先しています。
限られた情報量でも、役割が正確に伝われば信頼は損なわれません。情報を増やすことより、誤解が起きない書き方を選びました。
- その時点の問題
- 公開できる情報が少ないため、1つの説明文にまとめようとすると範囲が曖昧になる
- 判断
- 情報量を増やすのではなく、記述の範囲を分けて誤解を防ぐ
- 変更したこと
- 会社の役割/投資領域/グループとの関係を、独立した項目として記述
- 効果
- 海外の閲覧者が、この会社の担当範囲を読み取れる状態になった
施策3|社内確認
確認すべき項目を一覧化し、1回あたりの確認期間を5日まで短くしました
表現、掲載範囲、リンク先を項目ごとに一覧にして提出したことで、確認者が何を判断すればよいかが明確になり、往復にかかる時間が縮まりました。
着手前の想定では、1回の確認に2週間程度かかる見込みでした。確認者が複数おり、それぞれが何を見るべきか整理されていなかったためです。
提出物には毎回、確認していただきたい項目、選択肢、判断しない場合に起きること、回答期限を1枚にまとめた資料を添えました。ご担当者様が説明資料をつくり直す必要がなくなります。
結果として、1回あたりの確認は5日程度で回るようになりました。全体では4か月で公開しています。
1回あたりの社内確認期間
着手前の想定と実績の比較。低いほど良い
ワイヤー初稿までの日数
初回ヒアリングからの実績
公開までの期間
プロジェクト開始からの実績
施策4|公開後の計測
公開後に何が起きているかを見られる状態にしてから納品しました
サイトを納品して終わりにせず、GTM、Search Console、Clarityを設定し、閲覧状況を確認しながら改善を判断できる状態にしています。
公開前に想定した閲覧者と、実際に来る閲覧者はずれることがあります。特に海外向けサイトでは、どの国からどのページが見られているかを把握しないと判断できません。
計測環境を先に整えておけば、公開後に「なんとなく直す」ことを避けられます。
計測環境を整える
GTM、Search Console、Microsoft Clarityを設定。ページごとの閲覧状況と検索状況を確認できるようにしました。
公開前
実際の閲覧を確認する
どの国から、どのページが、どこまで読まれているかを確認します。
公開後
改善箇所を整理する
読まれていないページ、途中で離脱している箇所を洗い出し、直す優先順位をつけます。
定期報告時
提案・修正する
整理した内容をもとに修正案をご提案します。公開後も判断材料を持った状態で運用できます。
継続
結果
判断材料を先に出すことで、決めることの多い案件が止まらずに進みました
ワイヤー先行と確認項目の一覧化によって、掲載内容が未確定の状態からでも4か月で公開できました。止まった期間はありません。
10営業日で初稿を出せたことが起点です。以降の議論がすべて具体案に対する判断になったため、1回あたりの確認が5日程度で回るようになりました。
この2つが積み上がった結果として、4か月での公開になっています。個々の作業を速くしたのではなく、決められない時間を減らした形です。
ワイヤー初稿の提出
10営業日
初回ヒアリングから
1回あたりの社内確認
5日
想定14日から短縮
公開までの期間
4か月
着手から公開まで
お客様の声
「白紙で聞かれるより、案を見せてもらったほうが決めやすかった」
正直なところ、依頼した時点で何を載せるかが固まっていませんでした。投資会社なので出せない情報も多く、そこから決めなければいけない状態でした。
普通なら「原稿をください」と言われるところだと思うのですが、先に画面のレイアウトを出していただけたので、完成イメージを持ちながら話ができました。白紙で聞かれるより、案を見せてもらったほうが決めやすかったです。
確認のときも、どこを見ればいいかがまとまっていたので、社内に回すのが楽でした。関係者が多い案件だったので、ここは助かりました。
進捗の共有や説明も細かくいただけたので、途中で不安になることはありませんでした。
丸紅株式会社 ご担当者様
この事例から
この事例から、自社に置き換えられること
-
原稿が決まらない案件は、先に形を見せると動き出す
白紙の状態で「何を載せますか」と聞かれても、判断材料がなければ決められません。仮の構成でも具体案があれば、議論は「この案でよいか」に変わります。
-
確認者が多いほど、判断項目の整理が期間を左右する
制作物の質と、社内で決裁が回る速さは別の問題です。何を決めてほしいかを一覧にするだけで、1回あたりの確認期間は縮められます。
-
情報が少ないサイトは、増やすより誤解を防ぐ
公開できる情報に制限がある場合、無理に量を増やす必要はありません。役割と範囲を書き分けるほうが、読み手の理解につながります。
FAQ
よくある質問
掲載する内容が決まっていない段階でも相談できますか?
はい、その段階からご相談いただけます。今回も初回ヒアリングで伺った内容だけで構成とワイヤーを作成し、10営業日後に提出しました。原稿をご用意いただいてから、という進め方をとる必要はありません。
海外向けの英語サイトにも対応できますか?
対応しています。今回は丸紅グループの海外投資会社の英語サイトを制作しました。会社の役割、事業領域、グループとの関係を書き分けるなど、海外の閲覧者が誤解しない構成かどうかを確認しながら進めます。
グループ会社としての表記ルールにも合わせられますか?
はい。定められた表記や表現の決まりがある場合は、それに沿って設計します。今回もグループの一社として、親会社の実績と自社の役割が混同されない書き方を検討しました。
公開できる情報が少なくてもサイトは作れますか?
作れます。情報量が少ない場合ほど、何をどの順番で伝えるかが結果を左右します。今回も掲載できる範囲の中で、会社の役割が正確に伝わる構成を優先しました。
原稿も構成も決まっていない状態から、ご相談いただけます
初回のヒアリングをもとに、こちらで構成案とワイヤーを作成してお見せします。決めるべき項目を整理したうえで進められます。