作品販売だけのECから、企業案件も生まれるサイトへ。mamimun art様
ご依頼は「国内外へ作品を販売するECサイト」でした。ヒアリングを進めるうちに、企業や自治体からのウォールアート依頼につながる可能性が見えたため、購入導線と法人相談導線を分けた構成をこちらから提案しています。
制作期間
4ヶ月
対応言語
2か国
マーケティング相談/保守管理
2年
結論
依頼された「作品を売るサイト」に、法人が相談できる入口を足しました
作品販売のECサイトという当初のご依頼に対し、ヒアリングで見えた企業案件の可能性を踏まえ、購入導線と法人相談導線を分けた構成をこちらから提案しました。
最初のご相談は、国内外へ作品を販売できるECサイトの制作でした。ただ、活動内容を伺ううちに、ウォールアートなど企業・自治体からの依頼につながる可能性があると分かりました。
作品を買いたい個人と、制作を依頼したい企業担当者では、必要な情報がまったく違います。同じ導線に載せると、どちらにも中途半端なサイトになります。そこで導線を2本に分けました。
公開から6か月で、法人からの相談は12件。海外は8か国からアクセスがありました。あわせてShopifyの商品登録ルールを整えたことで、作品1件の追加にかかる時間は30分から8分になっています。
相談前の状況
作品は売れていても、企業からの相談は個人のSNS経由で届いていました
販売の場はあっても、企業や自治体の担当者が「この人に依頼できるのか」を確認できる場所がありませんでした。
作品の発表や販売はできていました。一方で、企業や自治体からの問い合わせは、SNSのダイレクトメッセージなど個人的な経路で届いていました。
その経路では、依頼できる内容や進め方、費用の目安が相手に伝わりません。担当者は社内で稟議を上げる材料がないまま、問い合わせるかどうかを判断することになります。
また、作品の在庫や価格を更新するたびに手作業が発生していました。作品が増えるほど、更新のために制作の時間が削られていく状態でした。
最初に確認したこと
ヒアリングで、必要な情報が2種類に分かれていることが分かりました
作品を買う個人と、制作を依頼する法人担当者では、知りたいことも判断の順番も違います。同じページで両方を満たすことはできませんでした。
活動内容と、これまでに届いた問い合わせの中身を伺いました。作品購入の問い合わせと、制作依頼の相談が混ざっており、後者が一定数あることが分かりました。
この2つを書き出して並べると、必要な情報がほとんど重なっていませんでした。
作品を買いたい個人
その場で判断して購入する
- 作品の写真とサイズ感
- 価格と在庫の有無
- 配送方法と送料
- 海外へ届くかどうか
- 購入手続きの分かりやすさ
制作を依頼したい法人担当者
社内で稟議を通す必要がある
- どんな制作を依頼できるのか
- 依頼から納品までの流れ
- 費用の目安
- 過去にどんな案件を手がけたか
- 誰に、どう問い合わせればよいか
最も重要だった判断
ご依頼の範囲を超える提案でしたが、サイトの役割を2つにすることを勧めました
作品販売のECとして作れば依頼どおりですが、それでは企業案件の相談が今後も個人の連絡先に届き続けます。役割を広げる提案をしました。
ご依頼どおりECサイトだけをつくるほうが、範囲は明確で工数も読めます。ただ、伺った活動内容からすると、法人案件は今後も発生する見込みがありました。
そこで、購入導線とは別に法人向けの相談導線を設ける案をご提案しました。判断材料として、法人担当者が稟議を通すために必要な情報の一覧をお見せしています。
作品の世界観を損なわないことが前提条件でした。法人向けの情報を目立たせすぎると、作品を見に来た人にとって商業的な印象が強くなります。ここは配置と分量で調整しました。
- その時点の問題
- 作品販売のECとして作ると、法人からの相談は引き続き個人のSNSに届き、判断材料も渡せない
- 判断
- ご依頼の範囲を広げ、購入導線と法人相談導線を分けて設計する
- 変更したこと
- 法人向けに、依頼できる内容・制作の流れ・料金イメージ・問い合わせ方法を用意した
- 効果
- 公開後6か月で法人からの相談が12件届いた
施策1|導線の分離
トップページの早い段階で、購入と相談のどちらに進むかを選べるようにしました
作品を見て購入したい人と、制作を依頼したい人が、途中で相手向けの情報を読まされないよう、入口の段階で導線を分けています。
分けるといっても、法人向けの案内を前面に出すと作品サイトとしての印象が変わります。作品の一覧を主役にしたうえで、法人向けの入口を1つ設ける形にしました。
作品を見る
トップページは作品の一覧を主役にしています。ここまでは購入検討者も法人担当者も同じ画面を見ます。
共通
導線が分かれる
作品を見た後、「作品を購入する」と「制作を依頼する」の2つの入口を用意しました。
分岐点
購入する(個人)
サイズ、価格、在庫、配送条件を確認して購入まで進みます。海外配送の条件もここで確認できます。
購入導線
相談する(法人)
依頼できる内容、制作の流れ、料金イメージを確認してから問い合わせます。稟議に必要な情報が揃います。
法人導線
施策2|法人向けページ
法人担当者が社内で稟議を通せるだけの情報を、1ページにまとめました
問い合わせフォームを置くだけでは足りません。担当者が上司へ説明するために必要な項目を揃え、問い合わせ前に判断できる状態にしました。
初めて見る企業担当者にとって、アーティストへの制作依頼は前例が少なく、社内で説明しづらい依頼です。何をどこまで頼めるかが分からないと、問い合わせ自体が起きません。
そこで、以下の項目を法人向けページに掲載しました。実際に届いた相談内容を見ると、この情報を読んだうえで具体的な条件を添えて問い合わせてくる例が増えています。
- 依頼できる制作の種類(ウォールアート、コラボレーション作品など)
- 問い合わせから納品までの流れと、各段階で決めること
- 費用の目安と、金額が変わる条件
- 過去に手がけた制作の内容
- 問い合わせ時に伝えてほしい項目(設置場所、面積、希望時期)
施策3|デザイン
作品の見え方を優先しながら、購入ボタンだけは見失わない配置にしました
作品を主役にするために余白を大きく取ると、購入導線が埋もれます。作品の見え方を崩さずに、購入ボタンと商品情報が視界に入る配置を探しました。
アーティストのサイトでは、作品が主役です。情報を詰め込むと世界観が損なわれ、作品を見に来た人にとって魅力が下がります。
一方で、購入できることが分からなければECサイトとして機能しません。作品画像の下に価格と購入ボタンを固定し、スクロール中も現在見ている作品の情報が分かる形にしました。
背景や余白は作品ごとの色に合わせて調整しています。統一したテンプレートに流し込むのではなく、作品が引き立つ見え方を優先しました。
施策4|運用
商品登録のルールを決めて、作品1件の追加を30分から8分にしました
作品が増えるたびに更新作業が発生します。登録項目とその順番をルール化し、毎回考えずに済む状態にしました。
以前は、作品を追加するたびに画像サイズ、説明文の書き方、価格の入れ方をその都度考えていました。項目の抜け漏れも起きます。
そこで、Shopifyの商品登録テンプレートを用意し、画像の規格、説明文の項目、サイズや配送区分の選択肢をあらかじめ決めました。作品ごとに変わるのは画像と固有の説明だけです。
この結果、作品1件の追加にかかる時間は30分から8分になりました。制作以外に取られる時間が減っています。
商品1件の追加作業時間
画像登録から公開までの一連の作業。低いほど良い
施策5|海外対応
海外からの購入を前提に、決済と配送の条件を先に整理しました
国内外へ販売したいというご要望が最初からあったため、公開後に慌てないよう、決済手段と配送条件、関税の扱いを事前に決めました。
海外配送は、作品のサイズや配送先の国によって条件が変わります。購入後に「その国には送れません」となると、購入者にも制作者にも負担が残ります。
そのため、対応する国、配送方法、送料の考え方、関税の負担者を先に決め、商品ページと購入手続きの両方に表示しました。
公開後6か月で、日本以外に8か国からアクセスがありました。
結果
法人相談は公開後6か月で12件。回を追うごとに増えています
法人向けページを設けたことで、これまでSNS経由だった相談が、条件が揃った状態でサイトから届くようになりました。
公開直後は月1件程度でしたが、検索や紹介からの流入が増えるにつれて件数が伸びています。合計は6か月で12件です。
件数だけでなく、内容も変わりました。以前は「依頼できますか」という段階の問い合わせが中心でしたが、現在は設置場所、面積、希望時期が書かれた状態で届くようになっています。法人向けページで先に判断してもらえているためです。
6か月の合計は12件。法人向けページの公開後、月ごとの相談件数が増えています。
お客様の声
「ECを作る話だったのに、途中で用途が増えました」
最初は、作品を買えるサイトがほしい、という相談でした。それ以上のことは考えていませんでした。
打ち合わせで活動の話をしていたら、「企業や行政からの相談も受けられるようにしませんか」と提案されて。正直そこまで想定していなかったので驚きましたが、言われてみると、これまでもそういう問い合わせはSNSに来ていたんです。ただ、こちらから提示できる材料が何もなかった。
作品の見え方が崩れないかは心配でした。法人向けの案内を入れると、いかにも営業しているサイトになりそうで。そこは配置と分量で調整してもらえたので、作品を見に来た人の邪魔にはなっていないと思います。
実務のところだと、商品を追加する作業が本当に楽になりました。前は1件入れるのに30分くらいかかっていたのが、今は10分かからないです。制作の時間が削られなくなりました。
法人からの相談も届くようになりました。しかも、場所や広さまで書いてある状態で来るので、最初のやり取りが短くて済みます。
mamimun art ご担当者様
この事例から
この事例から、自社に置き換えられること
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顧客が2種類いるなら、導線も2本に分ける
購入する人と依頼する人では、必要な情報も判断の順番も違います。1つの導線に載せると、どちらにも足りないサイトになります。
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法人からの問い合わせは、稟議に必要な材料が揃って初めて起きる
フォームを置くだけでは足りません。依頼内容、流れ、費用の目安、過去の実績まで揃うと、問い合わせの段階が一段進みます。
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更新作業のルール化は、公開後の運用コストを直接下げる
登録項目と順番を先に決めておくだけで、作業時間は大きく変わります。作りっぱなしにしないための設計です。
FAQ
よくある質問
販売だけでなく、企業や自治体からの相談にもつながるサイトにできますか?
はい。今回も購入導線とは別に法人向けの相談導線を設けました。依頼できる内容、制作の流れ、費用の目安を掲載することで、担当者が社内で説明できる状態にしています。
公開したあと、作品の追加や情報の更新は自分でできますか?
はい。今回はShopifyの商品登録テンプレートを用意し、画像の規格や説明文の項目をあらかじめ決めました。作品1件の追加にかかる時間は30分から8分になっています。
海外の方にも購入してもらえるサイトにできますか?
対応できます。今回は公開前に、対応する国、配送方法、送料の考え方、関税の負担者を決めて表示しました。扱う作品のサイズや発送方法によって条件が変わるため、そこから伺います。
依頼の流れや料金が固まっていない状態でも相談できますか?
はい、その段階からご相談いただけます。今回も、どこまでを掲載するかを一緒に整理しながら、法人向けの依頼の流れと費用の目安をまとめました。
販売だけで終わらせず、次の相談につながるサイトにしませんか
作品や商品を売る導線と、法人からの相談を受ける導線を分けて設計します。まずは現在の問い合わせがどこから来ているかを伺います。